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特定の形式に系統化して伝承されている日本の伝統芸能

伝統芸能は西洋文化が入ってくる前の芸術と技能を現代芸術と区別した呼称です。

日本では別々の時代に成立した多くの伝統芸能が並列的に存在します。

日本の伝統芸能は、日本に古くからあった芸術と技能の汎称です。

特定階級または大衆の教養や娯楽、儀式や祭事などを催す際に付随して行動化されたもの、または行事などで行われてきたものを特定の形式に系統化して伝承または廃絶された有形無形のものを言います。

明治期の西洋化以降も伝統芸能は既存の形式を保持して現代芸術と併存しています。

詩歌、音楽、舞踊、絵画、工芸、芸道などがあります。

主客の一体感を旨とし、茶碗に始まる茶道具や茶室の床の間にかける禅語などの掛け物は個々の美術品である以上に全体を構成する要素として一体となり、茶事として進行するその時間自体が総合芸術とされます。

香道(こうどう)は季節や名所などの様々な風情を組香(くみこう)に取り込んで楽しみます。

香当て競技の題号はほとんど古典文学(物語や歌)から選び出され、香りを通してその雰囲気を味わう事ができます。

花月香、小草香、源平香、源氏香、住吉香、古今香、呉越香、六議香、四季香、雨月香、七夕香、歌合香などという題号があります。

香道(こうどう)が確立されるまで

香は6世紀の飛鳥時代に仏教伝来と共に日本に伝えられました。

初めは供香(そなえこう)として仏前に用いられました。

仏教と共に広がり、主に宗教的儀式に用いられました。

奈良時代になると沈香や白檀など数種類の香薬を調合して作る薫物が、唐の鑑真和上によって日本に伝えられました。

平安時代には、宮廷を中心に空薫物(そらだきもの)として部屋や着物に香をたき染める風習が盛んになりました。

芳(かんばし)い香が尊ばれ、宮中や貴族社会では教養的遊びのための日用品となり、やがて芸術的なものとなります。

御家流、志野流の二大流派が誕生

室町時代に香木をたいて香りを鑑賞する遊びとして香道(こうどう)が確立されます。

武家社会になると香の嗜好も一変し、複雑で濃艶な香りからひとつの清楚優雅な香りを聞く(聞香)ようになります。

その味わいに文学的な雅境を見出そうとする日本固有の香り文化、香道(こうどう)が誕生します。

公家の三條西実隆を祖とする「御家流」と武家の志野宗信を祖とする「志野流」が香道の中心になって今日に及んでいます。

香当て競技が体験できる教室

公家の三條西実隆を祖とする「御家流」 ※2023年4月20日(木)時点の情報

御家流香道 師範 小畑 洋子(おばた ようこ) 薬師寺東京別院 稽古日:毎月第4金曜日 会費:25,000円(半年間5回)

武家の志野宗信を祖とする「志野流」 ※2023年4月20日(木)時点の情報

志野流香道 第21世家元継承者 蜂谷 宗苾(はちや そうひつ) 薬師寺東京別院 稽古日:毎月第1金曜日(家元行事により変更の場合有り) 月謝:8,000円

組香(くみこう)、香当て競技

香道(こうどう)では六国(りつこく)といって6種類の香木を用いて組香(くみこう)をつくり、香席で順にまわして香をかぎ分け、香の組み合わせを当てたり、香を1つづつ順番にまわして香の名前を当てたりして楽しみます。

主に東南アジアで産出される沈水香木など各種香木の香りを鑑賞します。

香当て競技の進め方

席主(せきしゅ)になる人が香木を小さく刻み、その一片ずつを一つ一つ香包(こうづつみ)に包みます。

香元(こうもと)が任意の順序で一つづつ香炉に焚いていきます。

香炉が参加者に回され香を聞きます。

答えを用紙に記入して提出します。

最後に香元(こうもと)が焚いた香の名前を順番に読み上げます。

正解数で成績が決まります。

華道は植物のみや植物を主にその他様々な材料を組み合わせて構成し鑑賞する芸術です。

華道という呼称は、生け花よりも求道的意味合いが強調されます。

華道(生け花)の起源

華道(生け花)の起源は古代からのアニミズムの流れとして、植物を立てて神を招く(依り代)という行為が考えられています。

華道(生け花)の起源は古代からのアニミズムの流れとして、植物を立てて神を招く(依り代)という行為が考えられています。

華道はもともとは神様や仏様に花を供えた習慣が始まりと言われています。

華道が現在に近い形で成立したのは室町時代の中期

当時流行した建築様式である書院造では床の間が用いられ、そこに中国から渡来した器や絵画が飾られるようになります。

それを更に華やかに飾るために草花が加えられるようになります。

京都六角堂という寺にいた僧侶が活けた花が武士の間で評判になりました。

六角堂の僧侶は池のほとりに居住していたことから「池坊(いけのぼう)」と呼ばれるようになり、これが日本で最も古い華道の家元である「池坊」の原型となります。

華道は花を飾るだけでなく、礼儀作法を重んじ精神修養を促す

修行や稽古を重ねることで客人をもてなすだけでなく、花の命を尊び自分自身を成長させるという目的があります。

華道で良いとされるのは必ずしも美しいものや華やかなものだけではありません。

華道で良いとされるのは必ずしも美しいものや華やかなものだけではありません。

優れた作品の中には、美しく咲いた花だけでなく、枯れた枝や苔などが用いられることもあります。

華やかなものだけでなく、枯れた枝や苔などの素材を用いることで様々なメッセージを伝えることも華道の魅力のひとつです。

華道は花材がない部分(空間)にも美しさを見出し線の美しさを表現することに重きを置いています。

主な華道の道具

花鋏(はなばさみ):わらび手、つる手

花留め(はなどめ):剣山(けんざん)、七宝(しっぽう)

花器(かき):お皿のような広口の浅い「水盤」、脚付きの「コンポート」、筒状の「投入れ花器」、「壺」など

基本的な生け方

「主材」→「配材」→「あしらい」→「根締め(ねじめ)」の順にいけます。

STEP1:主材(線を作る素材)の生け方

最初に3本の枝をベースとして、生け花の「骨格」となる美しいラインを作ります。

STEP2:配材(メインのお花)の生け方

2本を基本としたお花を挿し、華やかさを出します。

STEP3:あしらいの生け方

お花とお花の間を埋めたり、配材と異なる色味を加える事で鮮やかにしたりする役割があります。

STEP4:根締めの生け方

足元の前後に緑を足すことで生け花全体を引き締めると共に、剣山などの花留めを隠す役割があります。

葉をカールさせたりして面をうまく見せるように工夫します。

代表的な華道の流派

華道には様々な流派があり、様式・技法は各流派によって異なります。

池坊(いけのぼう)

室町時代後期に確立された流派です。

「立花(りっか)」「生花(しょうか)」「自由花(じゅうか)」の3つのスタイルがあります。

小原流(おはらりゅう)

「盛花(もりばな)」という面的な広がりを強調した生け花を創始し、近代いけばなの道を開いた流派です。

現代空間に合わせるスタイルです。

草月流(そうげつりゅう)

個性を尊重した自由な表現を求めた事から始まっていて、型にとらわれることなく、常に新しく、自由にその人の個性を映し出すスタイルです。

華道のお稽古に必要な費用

費用として必要なのは、お稽古の月謝だけでなく、事前に準備する道具の費用や、花代1,000円~3,000円があります。